問題はバス会社なのか?旅行会社なのか? ~軽井沢スキーバス転落事故~
1月15日に長野県軽井沢町で起きた大型バス事故。
運転手2人を含む14人が死亡、26人が重軽傷を負う
大惨事となった訳だが、警察やマスコミの発表を
見る限り、バス会社のルート変更が事故の要因の
ひとつであると指摘されている。
国土交通省の調べにおいても、当初の運行指示書には
道中のツー路が記載されていない事や点呼簿のずさんな
管理など、法令違反が相次いで見つかっているようだ。
ここまでの情報を見れば、バス会社の過失が事故の
大きな要因になったであろう事は、多くの方が
感じると思う。
しかし、私はこの意見自体に大きな違和感を抱かずには
いれないのである。
まず旅行の工程を作成するのは、旅行会社であって
バス会社ではない。そして旅行を企画した旅行会社から
金額提示を受けバス会社は仕事を受注する訳だ。
当然 そこには「元請け」旅行会社、「下請け」バス会社と
いう構図があり、少々無理な金額を提示されても、断れば
次の仕事も声を掛けてもらえなくなるという「下請け」側の
心情もあり受けざる負えない。
国土交通省は、安全確保のため貸し切りバスの運賃の基準額を
設定するよう制度を改定したが、今回もその基準額の下限を
8万円も下回る額で受注していたという事実があるのだ。
ルールは決めたが、バレなければいい
発注する側のこういった思惑が、不毛な過当競争を生み出して
しまうということを我々は肝に銘じなくてはなるまい。
消費者にとって「安い」は、確かに大きな魅力であると
思うのだが、その価格は自分の命の対価に合わせて
見合うほど安いのかを今一度考える必要があるといえよう。
今回の事故の加害者である旅行会社もバス会社も
我々の過剰な欲求が生み出した産物であるのだから、
どこかひとつに事故の理由や責任を押し付けるのは
少し違うような気がしてならないのだが・・・